ベトナム葬儀業界におけるM&Aの魅力を最新情報を基に徹底解説

目次
はじめに
この記事で伝えたいこと
ベトナムの葬儀市場は、土葬から火葬への過渡期にあり、火葬の知見がある日本の葬儀事業者が強みを発揮できるポテンシャルがある
ベトナムの葬儀市場は、まだ発展初期であり、定型的な葬儀プロセスの未整備や、都市部で渋滞を引き起こす原因となるなどの課題も多く存在する
葬儀という特殊な業界の特性上、現地市場に進出するためにM&Aが有効な手段となる
ベトナムの葬儀市場の潮流
ベトナムの葬儀業界は急速に発展している分野であり、経済成長や都市化、そして人口動態の変化に伴い、市場環境は大きく変わりつつある。
ベトナム人の死亡率
ベトナム国内の死亡者数は年々増加しており、2023年の死亡者数は約55万人に達する見込みで、2030年には60万人を超えると予測されている。
ベトナム人の死亡率は1,000人あたり5.5人とされており、今後も増加傾向が続くと推定されている。
特に都市部では高齢化が進んでおり、葬儀市場の拡大が続くと見込まれている

火葬と土葬の需要動向
ベトナムの地方部では土葬が依然として主流であり、葬儀サービスは家族や地域コミュニティの手で行われることが多い。
地方部では、葬儀の費用が比較的低廉であり、手続きが簡便であるため、依然として土葬が選ばれている。
しかし、都市化の進行に伴い、地方部でも火葬が選択されることが増えており、特にホーチミン市やハノイ市などの大都市圏では、多くの家庭で火葬が選ばれている。
その理由としては、都市部での土地の不足や、高齢化に伴う死亡者数の増加、また、火葬の方が短時間で効率的に葬儀を済ませることができるという点が挙げられる。
また、政府は火葬の普及を促進するため、金銭的インセンティブを提供している。
こうした背景から、都市部を中心に火葬率が増加し、2022年にはホーチミン市での火葬率が30%を超えたと報告されている。
今後、火葬がさらに普及することが予想されており、これに対応するために新しい火葬場の建設も進んでいる。
ベトナム進出方法としてのM&Aの魅力
現地市場に対する理解とノウハウの取得
ベトナムの葬儀市場は、地域ごとに文化や慣習が大きく異なる特徴を持つ。
例えば、都市部では火葬が広まりつつある一方、地方部では伝統的な土葬が依然として主流である。
また、仏教や儒教、地域固有の宗教的価値観が葬儀に深く影響を与えており、日本の基準や価値観をそのまま適用することは難しい。
さらに、ベトナムの葬儀業界は規制が存在する分野もあり、これらの対応には現地に根差した情報に精通している必要がある。
現地企業とのM&Aを通じて、こうした複雑な文化的・宗教的背景や規制に迅速に対応できる運営体制を確保することが可能である。
市場参入のスピード
M&Aでは、現地企業の市場特性に関する知識やノウハウを活用できるだけでなく、顧客基盤も即時に活用できるため、新規参入に比べて事業開始までの時間とコストを大幅に削減できる。
また、既存のブランド認知を活用することで、市場での信頼構築を効率的に行い、競争力を早期に確立することが可能である。
一方、新規参入では運営基盤やブランド浸透に時間を要し、資本提携や業務提携のスキームでは、独自戦略の展開が制約されるため、市場参入のスピードと主導権を重視するならば、M&Aは最適な選択肢となる。
発展初期段階の葬儀サービス
ベトナムの葬儀サービス市場は、まだ発展初期段階にあり、定型的な葬儀プロセスやサービスが確立されておらず、専門性も高くない。
また、歩道や路上に葬儀会場が設置されることで、交通渋滞を引き起こす要因ともなっている。
こうした課題が存在するベトナムの葬儀市場に、体系化された葬儀運営のノウハウを有する日本の葬儀業者が参入することで、ベトナムの葬儀業界全体の品質向上に寄与するポテンシャルは大きいと想定される。
葬儀業界における外資規制
ベトナムの葬儀業界には、外国企業に対する規制が存在する。
特に墓地の開発に関しては、外国企業の投資が禁止されているため、現地の墓地開発業者との連携スキームを工夫する必要がある。
一方、葬儀サービスや火葬場などの運営については、外国企業も参入が可能だが、事業参入のためには一定の法的条件を満たす必要がある。
ただ、ベトナムの葬儀業界はまだ発展途上にあり、法律で明確に規定されていない分野も存在するため、市場の進出に際しては、現地の情報に精通した専門家と連携しながら、自社にとって最適な参入スキームを検討する必要がある。
ベトナムの代表的な葬儀関連企業
代表的な葬儀関連企業:Martino Funeral Services Company
社名:Martino Funeral Services Company
設立年:1989年
所在地:ホーチミン市
ホームページ:https://tanglemartino.com/
会社概要:
30年以上の経験を持つベトナム有数のプロフェッショナル葬祭企業。
仏教やカトリックなど、各就業の儀式に則った葬儀の企画・運営を手掛ける。
葬儀運営の他に、葬儀会場の装飾、葬儀場のレンタルサービス、遺体の保管、霊柩車の手配、写真・ビデオ撮影、遺骨の海外輸送、遺体の防腐処理等、多岐に渡るサービスを提供する。
葬儀業界における外資規制
現地市場に精通したパートナーの選定
ベトナムでは都市部と地方で教育ニーズが大きく異なるため、一律の戦略ではなかなか成果を出しづらい。
また、保護者の所得水準や教育意識の差により、求められる授業内容や形式も多様となる。
このように、特に教育業界においては、ベトナム特有の教育意識やニーズに影響を受ける面が大きいため、ベトナム企業とのM&Aでは、いかにベトナム現地の事情に精通したパートナー企業を見極めることができるか否かがポイントとなる。
現地企業との競争
ベトナムの教育市場は有望である一方で、現地企業との競争は激しく、優良なパートナー企業との提携が成功の鍵を握る。
しかし、そうした企業が自ら市場に売りに出ることは少なく、買い手側から働きかけて交渉の場につかせる必要がある。
優良案件の発掘や交渉は決して容易ではないため、現地事情に精通し、文化や商慣行への理解が深い専門家の力が欠かせない。
さいごに
ベトナムの葬儀市場は成長を続けている一方で、サービス品質のばらつきや設備不足といった課題を抱えている。
また、土葬から火葬への移行が進む中で、火葬を主流とする日本の葬儀事業者にとっては大きなビジネスチャンスが広がっている。
日本の質の高い葬儀運営ノウハウを活用することで、これらの課題を克服し市場の変化に対応することは、日本企業にとっても成長の機会を提供するものであり、有望な市場であるといえる。
ベトナムでのM&Aを検討されている方は、現地の市場に精通した弊社にぜひご相談いただきたい。